AIDー娘との血液型の話からアイデンティティについて思いを馳せる
先日上の娘イチカ6才(AIDの告知をして1年ちかく経過)と血液型の話になりました。
何気ない話でしたが、こんな会話の内容の一つ一つが子供のアイデンティティを作り上げていくんだろうな、とあらためて告知の大切さを感じる瞬間でした。
告知にお悩みの方には是非読んでみて頂きたいです。
イチカ「友達のAちゃんはね血液型O型なんだって! イチカは何型??」
私「まだ分からないんだ。調べてないからさ。でも◯型か◯型のはずだよ!」
イチカ「なんで分かるの?そもそも血液型って何型があるの?」
今まで血液型について話すことがなかったので、イチカにとっては未知の世界だったのでしょう。
そこでまずイチカに
- 血液型にはA・B・O・ABの4種類があること
- 母親と父親からA・B・Oのどれかを一つづつもらうこと
- その2つの組み合わせによって血液型が決まること
を説明。
そして、
- 我が家の場合はパパの血液型ではなくて、ドナーさんの血液型とママの血液型を1つづつイチカ(長女)とニコ(次女)はもらっていること。
- ドナーさんの血液型はパパの血液型と同じであること
を追加で説明しました。
組み合わせや優性遺伝の話(AOだとA型になる、など)を興味深く説明を聞いていたイチカ。
特にドナーさんの話に反応を示す訳でもなく、最後には
「へえー。イチカも自分の血液型早く知りたいな!」との感想で会話は終了。
特にどうってことはないごくごく普通の会話。
AIDのことさえなければ埋もれてしまうような日常の一部。
でも、もしイチカがAIDの告知をされてなかったとして、
自分の血液型はママとパパの血液型から決まるとの認識を今持ってしまったとしたらどうなっていくのだろう。
そのままイチカは『自分はパパの血液型の一部をもらっている』と信じたまま大人になる。
パパのB型のマイペースな性格を私はもらってるのかも、なんて自己分析を時にはしてみたりしながら。
それって真実ではないのにも関わらず、一つの立派なイチカのアイデンティティの一つになってしまうのだろうな・・・とふと思ったのです。
そして大人になって不意にAIDの事実を知ってしまったとしたら、
そういった1つ1つのアイデンティティがすべて崩れ去る。
過去の親とのやりとりが嘘で塗り固められてたのか、と感じる。
子供にとってはものすごく残酷なことなのだろうと想像することが出来ました。
以前、AIDで産まれ告知を受けずに育った方が、「血液型の話は家族の中でなんとなくしてはいけない雰囲気でした」とおっしゃってるのを読んだことがあります。
確かに告知をしないのだとしたら、私達親は今回のように血液型の話になると父子の血液型に直接的な関連性はないのにも関わらず関連性があるかのように話を作り上げなくてはなりません。
たとえドナーの方と父親の血液型が同じだったとしても、父親の血液型が遺伝しているわけではないという事実は消せないですからね・・・。
親としても娘に嘘をつくのは心苦しい、なるべく血液型の話題はしたくない、当然そう思うのでしょう。
我が家はイチカにAIDで産まれたことを告知しているので、今回ドナーさんの血液型と私(母親)の血液型がイチカに遺伝する事実を伝える事が出来ました。
これって些細なことだけど、多分ものすごく大切なことなのだろう。
血液型の説明をイチカにしながら、そうぼんやり思ったのです。
イチカは正しい情報の元に自分のアイデンティティをこうやって少しづつ少しづつ築き上げてゆく。
嘘がないからこそ、そのアイデンティティは頑丈で揺らぐことがないのだろう。
やはり、告知をしてよかったな。
イチカの為にも、私達親の為にも。
そう思った休日の昼下がりでした。
今日もお読み頂きありがとうございました。