AID『出自を知る権利』より前に『精子提供者の立場』を守る必要がある
AIDに関わる法整備についてネットをググって見つけた記事があります。
当事者でありながら今まで知らなかった私の無知さを露呈していてお恥ずかしくなりますが、書かせてください。
(慶応大学病院)は提供を受ける夫婦や生まれた子どもにドナーの情報は非公表だが、17年6月、生まれた子が情報開示を求める訴えを起こし、裁判所から開示を命じられると公表の可能性がある旨を同意書に記した。また、日本はAIDで生まれた子の父親が、育てた男性かドナーのどちらなのか明確に決めた法律がなく、扶養義務などのトラブルが起こりうることを丁寧に説明した。
すると、17年11月以降、新たなドナーを確保できなくなり、昨年8月、提供を希望する夫婦の新規受け入れを中止した。実施数は16年の1952件から、17年は1634件、昨年は1001件と17年より約4割減った。
朝日新聞デジタルより引用
AIDの歴史の長い慶應大学病院では、2017年6月より、
精子ドナーの方との同意書の中で、
裁判で開示を求められた際にドナー情報を子供に開示する可能性があるとしていたそうですね。
しかしながら、日本の現在の法律では、
精子ドナーと子供との間に親子関係は成立しないという法律がないため、
精子ドナーの立場を守り切ることもできない。
正直、言葉もでません。
ドナーが減るのも当然です。
ドナーさんとしては、将来AIDで産まれてきた子供がやってきて、あなたは自分の親だ!と言われる可能性が出てきてしまったのですから・・・。
自分の生活が脅かされるリスクをおかしてまで精子ドナーになろうとは、なかなか思えませんよね。
現在出自を知る権利の大切さが良く言われるようになりました。
それは確かに大切です。
でも、それ以前にまず、精子ドナーさんの立場を守ること、そこからスタートしなければ何も始まらないのだな、ということを痛感させられました。
特別養子縁組では、生みの親と子供との間に法律上の親子関係はありません。
それと同じように精子提供者の方と子供との間の親子関係も法律上はない、と明確に規定してほしい。
そこの規定さえしっかり出来れば、例え出自を知る権利が法律上認められなかったとしても、もっとドナーさん側としても自分の情報を子供に公開してもいいよと思えるようになるのではないでしょうか。
出自を知る権利が世間で騒がれたことによってドナーが減少した。
私も含め、(私の周りの)多くの当事者がそんな曖昧な意識でいたと思います。
でもまず最初の課題は、出自を知る権利を認めるところではなく、
精子提供者の方の立場を守ることではないだろうか。
そこがしっかりして初めて『出自を知る権利』について議論する基盤が整うのではないでしょうか。
日本という国は、国も企業も教育も、『変わる』事が本当に苦手ですね。
時代や価値観やテクノロジーはこんなにも急速に変わっていっているというのに・・・。
せめて当事者として出来ることは何なのか、
まずは私個人がゆっくり考えてみたいと思います。
正直、子供を産んでからは日々の忙しさの中で子育てに追われ、AIDについて考えることがほとんどありませんでした。
当事者意識が非常に薄れていました。
ブログを書くことは私自身がAIDと向き合うとてもいいきっかけになっています。
最近は書く内容も毎日のようには思いつかず、週1度程度の更新になりそうですが、
細々とでも自分自身の為にも続けていきたいと思っています。
お読みいただいた方、どうもありがとうございました!