AIDの出自を知る権利が認められない事について養子に学ぶ
子供への告知を考えた時の私の不安の一つは、子供に出自を知りたい(ドナーさんが誰か知りたい)と言われた時のことでした。
将来ドナーさんを知りたいと子供が言った時に、子供が納得できるような対応が取れるのだろうか、と。(出自を知る権利が認められていない為)
もちろんその時に私が出来る事については協力していくつもりだが、ドナーさんが誰かというところまでたどり着くのは恐らく難しいだろう・・・。
そんな事をグルグルと考えながら検索していたら、AIDで産まれ当事者活動をしていらっしゃる加藤英明さんのこんな文章を見つけました。
「子供に事実を伝えると、子供の苦悩は減ると考えますか?
ドナーについて情報がないのに、伝えられて不安になったりしませんか?」と。
不満になるでしょうね、僕は不満になると思います。
〜中略〜
もう一つの(子供の不安をなくす)解決策は、特別養子縁組とかで小さい頃から出自について知っていると、親を探さなくても子供が現状に満足できる場合が多いそうです。
統計的なことは分かりませんが、僕が会った子供たちも、「お父さんお母さん知りたい?」って聞くと、「全然!会いたくもないよ」。
ただ、子供によっては 1 年に 1 回くらい思い出してフッと気になることもあるよね、っていう子供もいますね。
だけど早めに伝えると、気にしなくなるんじゃないかな。
それはそれで解決法のひとつだと思います。
http://blogs.shiminkagaku.org/shiminkagaku/2013/02/post-84.html
こちらのURLの中のPDFファイルより抜粋
出自を知ることが出来ないのは大多数の養子の子供達も同じです。
でも告知を幼い頃から受けて育った養子の子供たちは、自分の産みの親を知りたいと(あまり)思わない子も多いそうなのです。
おそらく、幼いことから真実告知を受けた子供は、自分の産みの親は分からないという状況の中で自分自身とは何か問いかけ自らのアイデンティティを作り上げていくのではないでしょうか。
だから、自分の産みの親は存在しない世界の中で自分というものがしっかりと形成されている。
でも、告知を受けずに子供が育つ場合は、育ての親を産みの親と捉えた中で自分のアイデンティティを形成してしまう。
アイデンティティが形成された後に、実は育ての親は生みの親ではなかった、と聞かされると自分の今までのアイデンティティが崩壊してしまう。
AIDで産まれ大人になってから予期せずに告知をされてしまい苦悩されている方達は、上記の後半の状況になってしまっているのではないだろうかと思うのです。
そう考えると、AIDの出自を知る権利が認められない現状で、私達親にできることは、子供が自分のアイデンティティを上手く形成出来るように、幼い頃から適切な告知をしてゆくことなのでしょう。
もちろん、幼い頃に告知をしたとしても、子供が大人になった時にドナーさんを知りたいと思う可能性もあるかもしれません。
そこは、今悩んでも仕方ないので、その時に又向き合って悩むこととします。